未払い残業代~医療従事者の悩み~

2021年03月23日

看護師の悩み〜長時間労働〜

看護師の仕事に対する悩みで常に上位にランクインするのが、長時間労働です。

そして、長時間労働に加えて残業代が出ないことが多い、ということもあります。
もちろん長時間労働自体も問題ですが、仮にやむなく残業する日があったとしても、それに対する対価が払われていれば、まだ救われるのかもしれません。
しかし、なぜか業界全体としてサービス残業が多く、残業代を請求しないのが暗黙のルールという雰囲気がまかり通っています。


看護師の残業代の未払いが多い4つの理由

1、勤務時間を超えた後の業務

もちろん定時内に全ての業務が終わるのが理想です。
しかし、実際には、次々と患者の対応をしなくてはならないなど、なかなか落ち着いてカルテを記入をすることができないこともあり、定時後にカルテの記入をするということはよく聞く話です。
定時後に業務というのは、カルテの記入だけに止まりません。
随時対応しなければならない仕事が飛び込んでくる看護師業務では、定時で業務を全て終了させることが難しいことがよくあります。カルテや書類の記入という時間がなかなかとれないことは珍しいことではありません。
しかし、カルテを始めとする書類記入も、看護師の業務です。もし、書類記入が勤務時間内に間に合わず、当日中に終わらせる必要がある場合は残業となり、これに対する残業代は当然請求することができます。

2、新人は残業代が出ないと言われる

新人の看護師などの場合、時間内に終わらないあなたが悪い、と言われることが多々あります。
また、新人なんだから何事も勉強などと言われて、サービス残業として残業代の請求を行わないことが多くあります。
最初は慣れていないこともあって業務スピードが遅いのが当然です。
それに応じた仕事配分を行うのが上司の仕事です。新人だからという理由で残業代が払われないのは当然おかしいです

3、急患などの突発的な仕事が多い

勤務先にもよりますが、急患や突発的な仕事が多いのが看護師の仕事です。
出社したときに、自分の1日の仕事の時間配分を決めても全くその通りにいきません。急患や、医師からの指示など、仕事内容は多岐に渡ります。
この突発的な仕事により、終業時間がどんどん後ろ倒しになってしまい、残業が増えてししまうのです。

4、みなし残業が含まれていると言われる

みなし残業(固定残業制)とは、予め給与の中に残業代が含まれている場合を指します。
よくこういう求人を見かけたことはありませんか?
月給25万円(残業代30時間含む)
実は、これでは有効とは言えません。なぜなら、これでは基本給与と残業代分がいくらなのかが分からないからです。場合によっては、最低賃金を下回ってしまうなんていうこともあるでしょう。
みなし残業(固定残業制)が認められるには、基本給与と残業代分が明確に区別されていることが必要になります
これが守られていない場合は、みなし残業制が有効であるとは言えませんので、残業代を請求することが可能です。



看護師が未払い残業代を請求したほうが良い5つの理由

1、職場環境、業界体質改善のため

看護師、医療業界全体とも言えますが、長時間労働でありながら残業代の未払いが多いと言われています。一人一人が声を上げることで医療業界全体の悪しき習慣を断つ必要があると思います。

2、証拠が残っていることが多い

近年では、カルテを始めとして電子化されている書類が非常に増えました。電子的な記録であれば、何時にそれを操作したかという記録が残るので少なくとも何時までは仕事をしていた、という証拠が集めやすくなります。

3、深夜時間の残業も多い

午後10時〜午前5時までは深夜時間にあたりますので、残業であるかどうかにかかわらず、その時間帯の給与は通常の1.25倍の支払いになります
さらに、その時間が残業時間にあたれば、通常の1.5倍の支払いです
もし、深夜残業があるのに未払い給与がある場合は、金額が大きいので請求することをおすすめいたします。

4、残業代請求には時効がある

残業代の請求には時効があり、経過すると支払いされなくなってしまいます
例えば、今は在職中だから請求しにくいけど、転職したら請求しよう、と思っている方がいるかもしれませんが、2年を超えてしまうと支払いを受けられなくなりますので、在職中でも勇気を出して請求することをおすすめいたします。

5、業務開始前の作業が多い

残業、というと定時後に残って仕事をすることをイメージしますが、看護師には前残業が多いです。引き継ぎのために、シフトの時間より30分、1時間早く行くということも聞きます。これについても、業務に必要な内容であれば当然労働時間となりますので、きちんと計算をしましょう。